実態がナゾだらけ「検察審査会」メンバーはホントに存在するのか? 集英社「週プレ」2010年11月01日

東京地検特捜部が、民主党・小沢一郎氏を不起訴処分にしたのは、今年2月のこと。4月には一般市民からなる検察審査会の1回目の審査が行なわれた。その議決を受けて検察は再捜査したが、嫌疑不十分でまたもや不起訴処分に。しかし、検察審査会は引き下がらず、9月に2度目の審議を行ない、今度も「起訴議決」を出した。

小沢氏を起訴へと追い込んだ検察審査会、そのナゾだらけの実態を、週プレ記者が追った!

平均年齢をめぐるふたつのナゾ

検察審査会で「強制起訴」が決まり、民主党・小沢一郎元代表が法廷に出るのも時間の問題となった。

それにしても、強制起訴にいたる検察審の対応には、いまだ釈然としないものがある。その最たるナゾが、この事件を担当した東京第5検察審査会メンバーの平均年齢にまつわる一件だ。

強制起訴の議決を公表した10月4日、審査会事務局は検察審メンバー11人の平均年齢を「30・90歳」と発表。
すると、「審査員は選挙人名簿から選ばれるはずなのに、平均年齢が若すぎるのでは?」という指摘が殺到したため、事務局は再計算の結果を「33・91歳」と訂正した。その理由は「37歳の審査員の年齢を足し忘れて、10人の合計年齢を11で割っていた」というもの。

しかし、ここでも事務局はミスを犯す。37歳を含めて再計算しても「33・91歳」にはならないのだ。その理由について事務局は、「最初に公表した『30・90歳』がそもそも間違っておりました」と答えている。

最終的に「34・55歳」に落ち着いたのは、当初の発表から実に10日もたってからだった。検察審査会は、11人の審査員の平均年齢を出すのに、10日間もかけていたことになる。

問題はそれだけではない。

「2度の修正はお粗末すぎますが、それだけなら単純な『事務的ミス』で済んだはず。問題は、計算し直された平均年齢が、なぜか半年前の1回目の議決のときと同じ数値であること。1回目と2回目で審査員メンバーが替わっているにもかかわらず、『34・55歳』という数字がピタリと一致しています。こちらの計算では、そんな若いメンバー構成が2度も続く確率は0.1%以下。これはあまりにも不自然です」(全国紙政治部記者)

こんなことが起こるには、メンバーが実は1回目とまったく同じか、あるいは意図的に年齢の近い人をそろえたのか……いずれにせよ検察審の運営上、問題があることに間違いない。

検察審査員OBのA氏が言う。

「今回の小沢検察審は、あまりに透明性がなさすぎます。平均年齢の公表で初歩的なミスをしたのだから、せめて審査員11人全員の性別や年齢だけでも公開すべきです。メンバーが入れ替わってるはずなのに、平均年齢が同じになるなんて、何かあるんじゃないかと勘繰ってしまいます」

てなわけで、この審査会の運営を担当した東京第一検察審査会・総務課の手嶋健課長を直撃した。

――平均年齢が小数点以下までそろうなんて、やっぱり間違いなんじゃ?

「いいえ。その後、課内の職員全員で検算していますので、間違いはありません! 若すぎるのでは?と言われましても、たまたまそうなったとしか言いようがないんです」

だが今回、「小沢を起訴すべし」の議決を下した審査員について、事務局が公表しているのはこの平均年齢のみ。

――せめて、審査員の年齢と職業くらい公表してもいいんじゃないの?

「こちらで把握しているのは選挙人名簿に記載されている氏名、住所、生年月日のみ。その中から何を公表するかは審査員たちが決めることなので、こちらから教えることはできません」

でも、37歳の人がいることは公表したわけでしょ? なのに、他の人の年齢は公開できないの? それとも37歳は審査員が「公表していい」と決めたわけ?

――だいたい、審査員は国民を代表して会議に参加したわけでしょう。それなら、われわれにだって知る権利はあるはずでは?

「私たち事務局はすべて審査会の決定に従うことになっていますので……」

検察審査員は、いるのか、いないのか?

――では、審査員の選び方は?

「くじです。パソコンでワンクリックすれば結果が出てきます」

――クリック一発で?

「裁判所が管轄する自治体の有権者名簿からパソコンを使ったくじで、毎年秋に翌年一年分の候補者400人を選びます。ただ、通知を受け取っても70歳以上や学生、過去5年以内に審査員や裁判員を経験した人などは回答書で『辞退したい』と申し出て、こちらの資格審査を通れば辞退することもできます」

――資格審査は誰が?

「前任の審査員です」

――審査員? ってことは、一般人が審査員を選んだわけですか?

「そういうことになります」

――その資格審査は何をもって候補者を絞り込むのですか?

「通知と一緒に送付する質問票への回答で判断します」

――ぜひその質問票を見せてください。

「それはちょっと……手元にないので見せられません」

――審査方法も審査基準もわからない。せめて、審査員の肉声を知りたいので議事録を見せてください!

「議事録といったものはつけておりません。会議の実施日時や参加者を記録する会議録ならありますが……」

――議事録がない! てことは、審査員の誰が何をしゃべったか、一切記録に残っていないってこと?

「そうなります」

――えーっ! 重要な資料になるはずの議事録を残していないなんて。

「それは検察審査会法に明記されておりませんので……」

――誰が何をしゃべったかなんてどーでもいい話だと……。じゃ、会議は何月何日に計何回行なわれたの?

「それも答えられません」

審査員の顔も見えなければ、声も聞こえてこない。議事録もなければ,会議の開催日程もわからない。こんな審査会に小沢氏は裁かれたのか……。

――そもそも、手嶋さんは審査員の姿をその目で見たんですか?

「あの日、廊下ですれ違った人が審査員だったんじゃないか、と」

――はぁ!?

「ただ、選任された審査員にはそれぞれ『検察審査会法に則り、公平・誠実に審査を行ないます』と宣誓してもらい、宣誓書も提出してもらいます。その際、宣誓書を受け取った担当者がいます」

――ぜひ、その人に会わせてください!

「それはできません」

――なぜですかっ!?

「担当者には会わせられません」

――じゃ、会議がどこで行なわれたのかも……教えてもらえませんね?

「そのとおりです。教えられません」

――審査員はホントにいたの?

「いた……と思います」

――思いますって(苦笑)。その審査員に足はありましたか?

「……」

審査員の実像を求めて事務局に乗り込んだものの、結局2時間のやりとりの末にわかったのは、審査員の要望の名のもとに、「何も教えられない」「見せられない」という事実だけだった。そもそも、なぜ彼ら(事務局)はこれほどかたくなにすべてのことを隠そうとするのか? 前出のA氏が言う。

「私が数年前に担当した詐欺事件にかかわる案件で、審査の途中、実際に捜査に当たった検察官の説明を聞く場面がありました。話に迫力があり、それもあってか、その後の会議は検察寄りに流れていったのを覚えています。一方で被疑者側の話を聞く機会は一度もなく、『これで本当に議決を出していいのか』と真剣に悩んだものです」

まさか審査員を“ある方向”に誘導している……? 密室の中でそんなことが行なわれていることを隠すために、事務局は審査員の姿を見せまいとしているのか? そう疑われても仕方がない。


ニュースの匠:まさに「仰天判決」だ=鳥越俊太郎
 
先月26日、小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人に対する政治資金規正法違反の裁判で東京地裁の判決が出ました。3人の供述調書の大半が裁判の過程で証拠採用されず「無罪では?」との予想もありましたが、判決は有罪でした。私は各メディアがどう報じるかに注目しました。新聞、テレビの報道は判決を重く受けとめ、小沢氏に議員辞職を迫る社説もありました。

 私も経験がありますが、メディアはなかなか司法の判断に異を唱えることはできませんでした。こうしたメディアの司法への対応が過去多くの冤罪(えんざい)を許してきた原因の一つなのです。今回もそうしたケースなのでしょうか?

 というのは、今週発売の週刊誌には判決への真っ向批判記事が続出したからです。まず「週刊ポスト」はトップ記事で全面展開。「本誌だけしか書けない大謀略の全詳報」「小沢一郎『抹殺裁判』わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ!?」。しかも、登石郁朗裁判長は“判検交流人事”で3年間、法務省刑事局付検事の経験を持つ「検事の身内」であると暴露しています。

 「週刊朝日」も厳しい。「裁判所の暴走」「こんな判決 まかり通るのか?」。「サンデー毎日」もトップの大見出しで「小沢叩(たた)きかくも極まる 秘書判決はトンチキ推理小説だ!」。「司法は天の声なのか」「“ミスター推認”登石裁判長は検察の救世主」などと判決の徹底検証を行っています。

 これに対し「週刊現代」は「小沢一郎 かげりゆく権力」と判決に乗っかっていつもの小沢批判。もっとも同じ系列の「日刊ゲンダイ」は「小沢潰し 専門家も仰天 奇怪判決」と批判しています。「週刊文春」「週刊新潮」も注目していましたが、ま、両誌の“体質”からか、司法に正面から挑戦することはありませんでした。私自身は1億円の裏献金が何の証拠もなしに認定されたことに、それこそ“仰天”してしまいました。


                                            毎日新聞 2011年10月8日 東京朝刊


アリバイ工作に走るマスコミ各社ー【審査会への提出資料リスト、検察が回答拒否 小沢氏公判】

<小沢元代表公判>東京地検が地裁の資料照会を拒否
  毎日新聞 2月7日(火)12時37分配信
 政治資金規正法違反で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判に絡み、東京地検は元代表を起訴すべきだと議決した東京第5検察審査会に提供した捜査資料リストなどについて、東京地裁(大善文男裁判長)の照会に応じない意向を伝えた。7日、元代表の弁護団が明らかにした。
 元代表の公判では、昨年12月に証人出廷した前田恒彦・元大阪地検特捜部検事(44)=証拠改ざん事件で実刑確定=が「検察による証拠隠しがあった」「裏金授受を否定した建設業者の事情聴取のメモが多数あるのに、検察審に提供されなかった」と証言した。
 検察審の議決の有効性を争う元代表の弁護側は▽地検が検察審に送った捜査資料のリスト▽建設業者を事情聴取した際に内容をワープロ打ちしたメモの存否−−を照会するよう地裁に請求。地裁は1月、地検にこれらを照会していた。
 対応を検討した東京地検は検察官役の指定弁護士が現在、公判活動中であることを重視。リストを提供すると、元代表公判の当事者ではない地検が手持ち証拠を開示するのと同じことになりかねず、手続き上ふさわしくないと判断したとみられる。
【山田奈緒、野口由紀】

審査会への提出資料リスト、検察が回答拒否 小沢氏公判
  朝日新聞 2012年2月7日16時50分
 民主党元代表・小沢一郎被告(69)の強制起訴を決めた検察審査会に対して、どのような捜査資料を提出したのかのリストを東京地裁が東京地検に照会したところ、地検が回答を拒んだことが6日、分かった。小沢氏の弁護側によると、地検はリストが存在するかどうかも明かさなかったという。
 「うその内容を記した捜査報告書をもとに、起訴を決めたのは無効」と主張する弁護側が、地検への照会を地裁に求めていた。
 昨年12月の小沢氏の公判では、元秘書・石川知裕衆院議員を取り調べた東京地検特捜部の検事が、実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記載していたことが判明。朝日新聞の取材で、この捜査報告書は検察審査会に提出されていたことが分かっている。

陸山会公判、地検が資料開示拒否…弁護側は批判
  読売新聞 2月7日(火)14時45分配信
 小沢一郎民主党元代表(69)が政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた陸山会事件で、東京第5検察審査会に提出された捜査資料のリストなどの開示を求めた東京地裁の照会に対し、東京地検が開示を拒否したことが7日わかった。
 回答は6日付で、小沢被告の弁護側は、現時点では拒否の理由が不明で、立証に支障が出るとして反発している。
 小沢被告の公判では、陸山会元事務担当者・石川知裕衆院議員(38)(1審有罪・控訴)の取り調べ担当検事が作成した捜査報告書に虚偽があることが発覚した。弁護側は、この捜査報告書に基づく同審査会の起訴議決は無効だと主張。捜査報告書を含め、どのような捜査資料が同審査会の判断に影響した可能性があるのかを明らかにするため、地裁を通じてリスト開示を求めていた。
 刑事訴訟法は、裁判所が刑事裁判の当事者からの請求などに基づき、官公庁や団体に対して資料の開示などを求めることができると定めている。弁護側からは「裁判所が立証に必要だとして開示を求めたものを拒否した例は聞いたことがなく、重大な問題だ」との声が上がっている。
最終更新:2月7日(火)14時45分

陸山会公判、検審への提供資料リスト「開示せず」 東京地検が回答 
  産経新聞 2月7日(火)12時45分配信
 政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、東京地検は検察審査会に提出した証拠リストなどについて「開示しない」と東京地裁に回答した。小沢被告の弁護人が7日、明らかにした。
 弁護側は元秘書、石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=を取り調べた検事が作成した捜査報告書に虚偽の内容があったとして、「報告書を根拠にした検審の起訴議決は無効」と主張。公訴棄却を求めるとともに、報告書が議決に与えた影響を明らかにするため、地裁を通じリストの開示を求めていた。
 また、弁護側は、昨年12月の公判で証人出廷した前田恒彦元検事(44)=証拠改竄(かいざん)事件で実刑確定=が「証拠隠し」と指摘した、調書作成されなかった取り調べ内容のメモについても同様に開示を求めたが、検察側は応じなかった。
 弁護団によると、検察側は開示拒否の理由について「手持ち証拠リストの開示につながる恐れがある」と説明。7日に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した弁護団は「裁判所が必要とした証拠調べに従わないで、裁判ができるのか」と話した。

検察審への証拠リスト開示せず=東京地検が回答―小沢元代表裁判
  時事通信 2月7日(火)11時10分配信
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の裁判で、検察審査会に提供した証拠のリストについて、東京地検は7日までに、開示できないと東京地裁に回答した。小沢被告の弁護人が明らかにした。
 弁護人によると、回答があったのは6日。地検は「手持ち証拠の開示につながる」と、開示できない理由を説明したという。 

捜査資料リスト開示拒否 陸山会公判、地検が回答
  共同通信2012/02/07 12:37
 民主党元代表小沢一郎被告(69)=政治資金規正法違反罪で強制起訴=の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で、検察審査会に送付された捜査資料のリストなどについて、東京地検が東京地裁に対し開示できないと回答したことが7日、弁護側への取材で分かった。地検は存在の有無も明らかにしていないという。
 弁護側の請求で地裁が照会していたのはほかに、前田恒彦元検事(44)=証拠改ざん事件で実刑確定=が証人出廷した際に「証拠隠し」と指摘した建設業者の「取り調べメモ」。
 弁護側は「対応を検討するが、『出せない』ということも裁判所の心証形成につながる」としている。

公文書非開示の東京地検を非難 小沢元代表の弁護側
  日本経済新聞社 2012/2/7 23:48
 資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地裁(大善文男裁判長)が検察審査会に送付した資料のリストの開示などを求めた公文書照会に東京地検が応じなかったことを受け、民主党元代表、小沢一郎被告(69)=同法違反(虚偽記入)罪で公判中=の弁護団は7日、東京都内で記者会見を開き「検察の体質は何も変わっていない」と厳しく非難した。
 会見した弘中惇一郎弁護士は「公訴棄却すべきだという我々の主張に対し、自分たちで集めた都合の悪いものを出したくないという極めて悪質な証明妨害だ」と批判。同席した喜田村洋一弁護士も「公文書照会には回答する義務があるはずで、『無法検察』と言われても仕方ない」と語気を強めた。
 一方、検察幹部は「検察は訴訟の当事者でなく、裁判に影響を与えるような証拠を自ら開示できる立場にない」と反論。「必要な証拠類は(検察官役の)指定弁護士に渡してあり、指定弁護士が開示すべきもの。開示を拒否したわけではない」と主張した。

小沢氏公判、検察側がリスト開示拒否
  TBS系(JNN) 2月7日(火)19時8分配信
 強制起訴された民主党・小沢一郎元代表の裁判で、嘘の捜査報告書が検察審査会に資料として提出されたかを調べるため弁護側が捜査資料のリストなどの開示を求めていた問題で、検察が開示を拒否していたことが分かりました。
 裁判では、元秘書を取り調べた検察官の捜査報告書に嘘のやり取りが記載されていたことがわかっていて、弁護側は「嘘の報告書が検察審査会の議決に影響を与えた可能性がある」として、起訴を取り消すよう主張しています。
 東京地裁は先月、検察側に対し、検察審査会に送られた資料にこの捜査報告書が含まれていたかリストの照会を求めていましたが、東京地検が6日に「捜査に関することで回答できない」として開示を拒否していたことがわかりました。
 「非常に不誠実であると共に、刑事裁判所が『必要である』と言ったものを、自分たちとしては『出したくない』で、検察庁は通るのか」(小沢元代表の弁護人)
 小沢氏の弁護団は「検察は不都合なものを隠している」などと批判しています。(07日17:23)
最終更新:2月8日(水)0時59分

捜査報告書提出か 検察回答せず
  NHK  2月7日 19時55分
 民主党の小沢元代表が強制的に起訴された事件を巡り、実際にはなかった取り調べ中の発言が書かれた捜査報告書を、検察審査会に証拠として提出したかどうかについて、検察は回答を拒否しました。
小沢元代表の弁護団は、「極めて不当な対応だ」と批判しています。
民主党の元代表の小沢一郎被告(69)の裁判では、秘書だった石川知裕衆議院議員の事情聴取を担当した検事が、石川議員が「議員なのにうそを言ってはいけないと言われ、小沢元代表への報告を認めた」と発言したなど、実際には話していない内容を捜査報告書に書いていたことが明らかになっています。
小沢元代表を起訴すべきだとした検察審査会の議決文では、同じ発言を引用して、石川議員の供述が信用できると判断しているため、捜査報告書が検察審査会に証拠として提出されたかどうかが焦点になっていました。
これについて、検察が裁判所に対して、「検察官役を務める指定弁護士には説明している」などとして回答を拒否したことを受けて、小沢元代表の弁護団が、7日午後、記者会見しました。
この中で、弘中惇一郎弁護士は、「裁判所が必要だと判断して回答を求めたのに、不利なものは出さないという極めて不当な対応だ」と批判しました。
一方、東京地方検察庁は「コメントはしない」としています。


哀れ・特捜検察に踊らされたマスコミ各社ー【審査会への提出資料リスト、小沢氏側に開示】

小沢元代表、法廷:取り調べメモ70通 指定弁護士、弁護団に「存在」回答
毎日新聞 2012年2月10日 東京朝刊
政治資金規正法違反で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判に絡み、検察官役の指定弁護士は9日、元代表の起訴議決をした東京第5検察審査会に東京地検が送付した捜査資料のリストを元代表の弁護団に開示した。建設業者の「取り調べメモ」が計70通存在することを弁護団に伝えた。
 取り調べメモなどを巡っては、東京地検が6日、弁護団の請求に基づく東京地裁の照会に対し、開示を拒否。弁護団は8日、指定弁護士に対し同様の内容を開示するよう申し入れていた。
 関係者によると、リストには元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)=1審有罪、控訴中=を取り調べた田代政弘検事(45)による捜査報告書があったほか、これまで開示されていない主任検事による捜査報告書なども載っており、弁護団は今後、証拠開示を求めるとみられる。
 元代表の公判では、田代検事が捜査報告書に実際のやり取りとは異なる記載をしていたことが判明。また、前田恒彦元検事(44)=証拠改ざん事件で実刑確定=が「裏金授受を否定した建設業者の事情聴取のメモが多数あるのに、検察審に提供されなかった」と証言。弁護団は、東京第5検察審が議決に至った経緯を探るため、リストの開示やメモの存否を明らかにするよう求めていた。【和田武士】

捜査資料リスト、小沢氏側に開示 検察審査会への提出分
朝日新聞  2012年2月9日17時0分
 民主党元代表・小沢一郎被告(69)を強制起訴した検察審査会に対し、東京地検がどのような捜査資料を提出していたのかのリストを検察官役の指定弁護士が9日、小沢氏の弁護人に回答した。リストには、元秘書・石川知裕衆院議員を取り調べた東京地検特捜部の検事が作成し、実際にはなかったやりとりを記した捜査報告書も含まれていた。
 回答によると、小沢氏の1回目の審査では69点、2回目の審査では30点の資料が検察審査会に提出されていた。強制起訴を決めた2回目の審査に提出された資料に、問題の捜査報告書が含まれていた。小沢氏の弁護側は、この報告書が審査に影響を与えたとみて、小沢氏の公訴(起訴)の棄却を求めている。
 また、元検事の前田恒彦受刑者=証拠改ざん事件で懲戒免職=が法廷で存在を証言したメモについても、指定弁護士は「メモは70通存在する」と回答。前田元検事の証言では、メモには「ゼネコンが小沢氏側への資金提供を否定した」という記載があったとされる。

陸山会事件の捜査リスト、指定弁護士に開示要請
読売新聞2012年2月9日10時57分
. 小沢一郎民主党元代表(69)が政治資金規正法違反に問われた陸山会事件で、小沢被告の起訴議決をした東京第5検察審査会に提出された捜査資料のリストの開示要請に対し、東京地検が応じられないと回答したことを受け、小沢被告の弁護側は8日、検察官役の指定弁護士にリストを開示するよう申し入れた。
 弁護側の要請に基づく東京地裁の照会に対し、同地検が6日、「どのような捜査資料を出したかは指定弁護士に説明している」と回答したことを受けた措置。弁護側は、公判で証拠調べが終了する17日までに捜査資料の内容を検討する必要があるとして、13日までの回答を求めている。
 検察側は公判の当事者である指定弁護士への開示要請であれば、リストなどを示すことに問題はないとしている。

指定弁護士が弁護側に証拠リスト開示
産経新聞 2012.2.9 13:57
 政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、検察官役の指定弁護士は9日、東京地検が検察審査会に提出した証拠リストを弁護側に開示した。
 関係者によると、証拠リストには元秘書、石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=を取り調べた検事が作成した捜査報告書も含まれていた。また、昨年12月の公判で証人出廷した前田恒彦元検事(44)=証拠改竄(かいざん)事件で実刑確定=が「証拠隠し」と指摘した、建設業者の取り調べメモについて指定弁護士は「70点ある」と回答したという。
 弁護側は、この捜査報告書に虚偽の内容があったとして、「報告書などを根拠にした検審の起訴議決は無効」と主張。公訴棄却を求めるとともに、報告書が議決に与えた影響を明らかにするため、地裁を通じて地検にリストの開示を請求していた。
 これに対し、地検は「検審に提出した資料は指定弁護士に説明しており、地検からは開示できない」と回答し、メモの開示にも応じていなかった。

虚偽報告書など資料リストを開示 陸山会事件で指定弁護士   
日本経済新聞社2012/2/10 2:05
 資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、検察官役の指定弁護士は9日、民主党元代表、小沢一郎被告(69)=同法違反(虚偽記入)罪で公判中=の強制起訴を議決した東京第5検察審査会に、東京地検から送付された捜査資料のリストを弁護側に開示した。元代表の弁護人が明らかにした。
 リストには事実と異なる内容が記載された捜査報告書や、これまで開示されていない捜査資料が含まれていたという。未開示の資料について、元代表側は週内にも指定弁護士に開示請求する方針。
 指定弁護士は、同地検が事件に関連しゼネコン担当者などを取り調べた「取り調べメモ」約70通を検察審に提出していなかったことも明らかにしたという。
 元代表側は当初、東京地裁を通じて東京地検にリストを照会したが、地検が応じなかったため、指定弁護士側に開示を求めていた。

取り調べメモ、検察審に未提出=指定弁護士が回答−小沢元代表裁判
時事通信2012/02/09-20:59
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の裁判で、検察官役の指定弁護士は9日、弁護側の申し入れに対する回答書で、東京地検特捜部が建設業者らの取り調べ時に作成したメモが計70通存在し、検察審査会に提出されていなかったことを明らかにした。証人尋問で前田恒彦元検事(44)=証拠改ざん事件で実刑確定=が、「小沢事務所側に金を渡していない」などとする建設業者の供述をまとめたメモが存在すると証言していた。
 回答書で指定弁護士は、小沢被告の起訴議決をした検察審査会に地検が提出した捜査資料のリストを開示。石川知裕衆院議員(38)の取り調べ担当検事が事実と異なる記載をした捜査報告書も含まれているという。

小沢一郎被告の裁判「捏造」報告書が審査会に
TV朝日 02/09 20:19
小沢一郎被告の裁判で、元秘書を取り調べた検事が実際にはなかったやり取りを記載していた捜査報告書が、起訴議決を出した検察審査会に提出されていたことが分かりました。
 これまでの裁判で、小沢被告の元秘書を取り調べた検事が、実際にはなかったやり取りを記載した捜査報告書を作成したことが明らかになっています。検察官役の指定弁護士は9日、弁護側に対し、検察が審査会に提出した捜査資料のリストを開示しましたが、この問題の捜査報告書も含まれていたことが分かりました。弁護側は、この報告書が審査会の審査に影響を与えたとみて、起訴の無効を訴えています。また、当時、捜査にあたっていた前田恒彦元検事が、裁判で指摘したゼネコンへの取り調べメモ70通が存在することも明らかになりました。前田元検事は、メモについて「ゼネコンが小沢被告側への資金提供を否定する内容だった」と証言していました。しかし、これらのメモは検察側から審査会に提出されていなかったということです。

問題ある捜査報告書 検審に提出
NHK 2月9日 15時56分
民主党の小沢元代表が強制的に起訴された事件を巡り、検事が実際にはなかった発言を捜査報告書に書いていた問題で、この捜査報告書が検察審査会に証拠として提出されていたことが分かりました。
小沢元代表の弁護団は、検察審査会が判断の根拠にした証拠には問題があったとして議決は無効だと主張しています。民主党の元代表の小沢一郎被告(69)の裁判では、秘書だった石川知裕衆議院議員の事情聴取を担当した検事が、小沢元代表への報告を認める供述をした理由など石川議員が実際には話していない内容を捜査報告書に書いていたことが明らかになっています。
裁判で、検察官役を務める指定弁護士は9日、この捜査報告書が検察審査会に証拠として提出されていたほか、検察が捜査段階で小沢元代表への裏献金があったかどうかゼネコン関係者から事情を聞いた際に作成した取り調べのメモ、合わせて70通が残っていたことを小沢元代表の弁護団に対して明らかにしました。
小沢元代表の裁判では、証人として呼ばれた元検事が「ゼネコン側は裏献金を強く否定したが、検察の想定には合わないので証拠として調書に残さなかった」と証言していて、弁護団は、検察審査会が判断の根拠とした検察の捜査や証拠には問題があったとして、議決は無効だと主張しています。
一方、指定弁護士は「ほかにも証拠があり、検察審査会の議決の有効性は揺るがない」と反論しています。


     郷原信郎・・・・ 調書却下について   2012.2.17

小沢氏公判での証拠却下決定
注目すべきは、虚偽公文書作成の範囲と偽証の認定、特捜部の組織的な不当取調べの認定

本日の小沢氏の公判で、東京地裁大善文男裁判長は石川知裕衆議院議員ら元秘書3人の供述調書の多くについて証拠採用を却下した。元代表の関与を認めた石川氏の調書についても、任意性、特信性を否定して請求を却下した。

 決定書全文を入手して読んだが、石川氏らの供述調書の請求を却下したという結論もさることながら、重要なことは、その理由の中で、取調検察官の田代検事の法廷証言の信用性についても踏み込んだ判断をしたことである。

特に、田代検事が市民団体から虚偽公文書作成罪で告発されている石川氏の取調べ状況についての捜査報告書の問題に関して「記憶の混同が生じたとの説明はにわかに信用できない」と述べているのは、事実上、田代検事の偽証と虚偽公文書作成の犯意を認めたものと言え、東京地検の告発事件の捜査に決定的な影響を与えるものと思われる。

 しかも、決定書では、その田代検事の後に石川氏の取調べを担当した吉田副部長も取調べで石川氏に圧力をかける行為を行っていたことを認め、田代検事の不当な取調べが、個人的なものではなく、組織的なものであったことまで認定している。

 今回の証拠決定は、検察、とりわけ特捜検察にとって衝撃的なものであろう。
市民団体の告発事件は、最高検から東京地検刑事部に回付されたとのことだが、東京地検刑事部は、今回の東京地裁の決定を受けて早急に、捜査に着手することになるだろう。


     検察の虚偽調書却下  マスコミは特捜検察との「共犯関係」を総括しなければならない

■小沢元代表公判:裁判長、特捜捜査を厳しく批判
毎日新聞 最終更新 2月17日 12時44分

調書内容と採否 次々に「核心」の調書を却下−−。3月に全審理を終える予定の民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判は17日、判決の行方を占う重要局面を迎えた。衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人=いずれも1審有罪、控訴中=の捜査段階の調書に対する証拠採否で東京地裁は相当数を退け、虚偽記載への元代表の関与を認めた調書も採用しなかった上、大善文男裁判長は東京地検特捜部の捜査を厳しく批判した。

 「それでは、石川さん、池田(光智)さん、大久保(隆規)さん、3人の元秘書の検察官調書について、採否を判断したいと思います」。開廷から間もない午前10時過ぎ、大善裁判長が切り出した。「一度、主文を告げます。それから概要を説明します」。続いて、検察官役の指定弁護士が採用を求めた42通の各調書について、早口で採用もしくは却下の判断を述べた。

 静まりかえった法廷に、大善裁判長の声だけが響く。「任意性も特信性(特別に信用する事情)もない」。事件の中心を構成する石川被告の調書が次々に却下され、指定弁護士の大室俊三弁護士は手元の資料にメモを走らせる。対面にいる元代表の弘中惇一郎主任弁護人もあわただしく資料に目をやる。小沢元代表は表情を動かすことなく、前を向いたままの姿勢を保った。

 指定弁護士が採用を求めた調書の中には、石川議員が保釈後、取り調べのやり取りを「隠し録音」した際のものもあった。大善裁判長はこの調書も「任意性、特信性なし」と告げた。「録音によると、調書の文面は供述内容に基づかずに一方的に作成したとうかがわれる。違法不当で許容できない」とも述べ、特捜部の捜査のあり方に強い口調で疑問を呈した。
【石川淳一、野口由紀】

■共謀認めた石川議員の調書、証拠採用せず 小沢氏公判
朝日新聞 2012年2月17日15時3分
■共謀認めた石川議員の調書、地裁が却下
朝日新聞 2012年2月18日3時5分

 資金管理団体「陸山会」をめぐる土地取引事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告(69)の第14回公判が17日、東京地裁で開かれた。大善文男裁判長は、元経理担当秘書・石川知裕衆院議員(38)が捜査段階で「政治資金収支報告書への虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得た」と認めたとされる供述調書について、すべて証拠として採用しない決定をした。

 東京地検特捜部で調書を作成した田代政弘検事(45)の取り調べは「虚偽供述に導く危険性が高く、違法不当だった」と述べ、証拠としての能力はないと判断した。小沢氏が虚偽記載に関与したことを示す直接的な証拠は元秘書らの調書のみ。後任の経理担当・池田光智元秘書(34)が共謀を認めた調書の一部は採用されたものの、4月の判決に向けて、検察官役の指定弁護士は有罪立証の大きな柱を失った。

 指定弁護士が証拠請求していた検事作成の調書は計42通で、内訳は石川議員の13通▽池田元秘書の20通▽元会計責任者・大久保隆規元秘書(50)の9通。このうち「小沢氏への報告・了承」が含まれる調書は、石川議員の8通と池田元秘書の3通だった。

■小沢元代表共謀、立証の柱失う 石川議員の調書不採用
日本経済新聞2012/2/17 11:38

 民主党元代表・小沢一郎被告(69)の公判で、東京地裁は17日午前、元代表の関与を認めた元秘書の供述調書の証拠採用を却下した。採否の結果が元代表の有罪・無罪に直結しないとはいえ、焦点の調書を立証の柱に据える検察官役の指定弁護士にとって厳しい結果となった。

 元代表に虚偽記入を報告し、了承を得たとする元秘書の供述調書の採否が重視される訳は、元代表の虚偽記入への関与を示す直接の証拠がこれ以外にないことにある。それ故に採用を却下されれば、指定弁護士は形勢が不利になる。

 ただ、採用されたとしても、そもそも検察が「具体性に欠ける」として起訴を見送った内容。同地裁の大善文男裁判長は改めて調書の信用性を判断するほか、客観証拠や元代表本人の法廷供述などをすべて考慮して判決を下す。このため、採用がそのまま有罪を導くわけではない。

 判決に微妙な影響を与える証拠採否の決定だが、その行方を左右するとみられるのが、石川知裕衆院議員(38)が任意の取り調べを隠し録音したDVDの内容だ。

 元秘書3人の公判では、元代表の公判とは異なる裁判長が、録音内容を基に「取り調べで威迫や利益誘導があった」として採用を却下。しかし、指定弁護士側は元代表の公判で録音内容を再生し、「供述を強制されている様子はない」と主張した。

 ただ、隠し録音した取り調べを巡っては、取り調べ検事が実際にはなかったやり取りを捜査報告書に記載していたことが、公判終盤で判明。検事自身も法廷で事実と異なる記載があったことを認めた。

 問題の報告書は東京第5検察審査会による元代表の強制起訴の根拠になったとみられることから、元代表側が証拠申請。指定弁護士側も証拠採用に同意し、17日の公判で採用される見通し。

 指定弁護士の1人は「調書の信用性が問題視されたとしても、一部の取り調べに限られる」と説明。元代表側は「事件全体が見込みで作られたとの印象を裁判所は受けたはずだ」としている。

■「虚偽供述に導く取り調べ」地裁、検察を批判
読売新聞 2012年2月17日15時08分

「虚偽供述に導く危険性の高い取り調べだ」――。
 小沢一郎・民主党元代表(69)の17日の公判で、東京地裁の大善(だいぜん)文男裁判長(52)は、元代表の関与を認めた元秘書らの調書を却下した理由の中で、検察の捜査を激しく批判した。公判で明らかになった捜査報告書の虚偽記載問題にも言及。検察審査会の民意で起訴された事件の立証が、検察の“落ち度”によって困難さを増すことになり、検事に代わって被告を追及する指定弁護士は、考え込むようにして理由の朗読に聞き入った。

 午前10時頃、スーツ姿の小沢元代表は、裁判官席に一礼して同地裁104号法廷に入廷。口を真一文字に結び、前を見据えて、証拠採否の決定に臨んだ。

 「主文を読み上げます」。大善裁判長は一呼吸置いてから、「採用」と「却下」の調書の番号を一気に読み上げ、「却下」が多いその番号を、指定弁護士、弁護側が懸命に書き留めた。

 陸山会元事務担当者・石川知裕衆院議員(38)が小沢元代表の関与を認めた供述調書について、大善裁判長が「任意性なし」と説明すると、弁護側の喜田村洋一弁護士(61)が大きくうなずいた。

 決定理由の朗読内容が一気に厳しさを増したのは、石川被告を担当した田代政弘検事(45)の取り調べ手法に対する評価に入った時だ。小沢元代表の起訴を示唆しながら供述を求めたことについて、「強力な利益誘導で、虚偽供述に導く可能性の高い取り調べ方法だ」と非難した。

 田代検事が証人出廷した際に、「より真実に近い供述を維持するために行った」と釈明したことにも、「真相解明の熱意からだとしても、検察官の職責を考えれば違法性、不当性が減じるものではない」と、厳しい言葉を連ねた。

■小沢弁護団「有罪証拠消えた」 石川議員の調書不採用
共同通信2012年2月17日 18時41分

 資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告(69)の弁護団が17日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し「元代表を有罪とする証拠はほとんど消えた。無罪獲得に向け、証拠を精査したい」と述べた。

 東京地裁でこの日開かれた第14回公判では、元秘書の検察官調書の証拠採否が決定で示され、石川知裕衆院議員(38)が元代表との間の「報告・了承」を認めた全ての調書が不採用となった。

 池田光智元私設秘書(34)の調書の一部は採用されたが、弁護団は「共謀が認められる具体的な内容ではない」と指摘した。

■石川議員の調書を不採用=虚偽記載「報告・了承」―小沢元代表公判・東京地裁
時事通信社2012年 2月 17日 20:07

資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の第14回公判が17日、東京地裁であり、小沢被告に虚偽記載を報告し、了承されたとした石川知裕衆院議員(38)の捜査段階の供述調書について、大善文男裁判長は「検事による違法、不当な取り調べによるもので、許容できない」として証拠採用を却下した。

 小沢被告の共謀を示す直接の証拠は、虚偽記載の報告、了承を認めた石川議員ら2人の調書しかなく、検察官役の指定弁護士にとって厳しい結果となった。

 指定弁護士が証拠請求していた供述調書42通のうち29通が、全文または一部却下された。小沢元代表への「報告・了承」を認めた池田光智元私設秘書(34)の調書は、一部が証拠採用された。

 大善裁判長は、石川議員に対する東京地検特捜部の検事による取り調べについて、「虚偽供述に導く危険性が高い取り調べだ」と判断し、調書の任意性を否定した。

 取り調べで検事が、別件での再逮捕を示唆したり、小沢被告は起訴されないとの見通しを示したりすることで、石川議員を懐柔、説得し、調書作成に応じさせた疑いがあると指摘。別の検事が石川議員の前で取り調べメモを破ったことなどから、「複数の検事が圧力をかけており、取り調べは組織的なものだったと疑われる」と判断した。 

■小沢氏裁判 石川議員の調書不採用
NHK2月17日 10時49分

民主党の小沢元代表の裁判で、「収支報告書のうその記載について小沢元代表の了承を得た」とする石川知裕衆議院議員の供述調書について、東京地方裁判所は「検察の取り調べは違法で不当だ」と強く批判し、すべて証拠として採用しないことを決めました。
これによって元代表の関与を示す直接的な証拠はほとんどなくなり、検察官役の指定弁護士は、有罪を立証する柱を失ったことになります。
政治資金を巡る事件で強制的に起訴された民主党元代表の小沢一郎被告(69)の裁判では、収支報告書の記載について元秘書の石川知裕衆議院議員らから報告を受けて了承していたかどうかが最大の争点になっています。捜査段階で、石川議員らは「小沢元代表に了承を得た」と供述しましたが、裁判では、調書の内容は事実とは異なると主張しています。
このうち、石川議員の供述調書について、東京地方裁判所の大善文男裁判長は17日、「検察官が取り調べで『これまでの供述を変えないなら元代表は起訴しない』などと繰り返し働きかけたことは強力な利益誘導で、うその供述を導く危険性が高い取り調べだ。違法不当なもので、許容できないことは明らかだ」と強く批判し、証拠として採用しない決定をしました。また、小沢元代表への報告を認めた池田光智元秘書の供述調書も一部を除いて、「取り調べに利益誘導があった」と指摘して採用しませんでした。
小沢元代表は、背筋を伸ばして目を閉じて座り、決定の内容を聞いている間も特に表情を変えませんでした。
これによって、小沢元代表の関与を示す直接的な証拠はほとんどなくなり、検察官役の指定弁護士は、有罪を立証する柱を失ったことになります。
判決は4月下旬にも言い渡される予定で、裁判所が採用した調書の内容や小沢元代表の法廷での発言など残された証拠をもとにどのような判断を示すか、注目されます。

裁判のあと小沢元代表の弁護団が会見し、弘中惇一郎弁護士は「捜査段階で小沢元代表の関与を認めたかのような秘書3人の調書の中心部分が却下され、これで有罪にするような証拠はほとんど消えた。審理の基礎となる証拠が固まったので、無罪判決を得るための最終的な準備を進めていきたい」と述べました。
一方、検察官役の指定弁護士は、裁判所の決定について、想定の範囲内だとして有罪の立証に向けて強気の姿勢を崩しませんでした。
指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、裁判のあと、「元秘書らの調書は、検察がそれだけでは起訴できないと判断していたものなので、そもそも証拠としての価値はそれほど大きくないと考えていた。決定は意外ではない」と述べ、想定の範囲内だったことを強調しました。そのうえで、「直接的な証拠の大半が無くなったことで具体的なやり取りを立証する手段はなくなったが、池田元秘書の調書の一部は採用されているうえ、そのほかの間接的な事実を積み上げていくことで有罪の立証は十分可能だと考えている」と述べました。
また、裁判所が検察の違法な取り調べがあったと指摘したことについて、検察幹部の1人は「批判は、真摯(しんし)に受け止めなければならない。小沢元代表の強い関与を示す証拠がなくなり、検察官役の指定弁護士にとっては厳しい状況になったのではないか」と話しています。

■「取り調べは違法、不当」「組織的な圧力」…裁判長が痛烈批判、検察官調書を次々否定
産経新聞 2012.2.17 13:18

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第14回公判が17日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。小沢被告への「報告・了承」を認めた元秘書らの供述調書を、裁判所が証拠採用するかどうかの判断が示される》

 《石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=ら元秘書3人は、捜査段階の供述調書の内容▽今公判での証言▽自らが罪に問われ、有罪となった公判での証言−がそれぞれ異なるなど、事件に関する発言の趣旨が一貫していない》

 《小沢被告と元秘書の共謀を裏付ける直接証拠は、石川議員らが「(政治資金収支報告書の虚偽記載を)小沢先生に報告し、了解を得た」と認めたとされる検察官作成の供述調書しかない》

 《だが、石川議員は今回の公判で「わが身かわいさと自分の弱さから、事実でない調書に署名してしまった」などと証言。弁護側は検察による取り調べに「威迫、誘導があった」として、調書を証拠採用しないよう求めている》

 《採否の対象となるのは、元秘書3人の捜査段階の供述調書計42通や、元秘書3人の公判時の調書など。検察官役の指定弁護士は強制起訴にあたり、これらの調書を軸に事件を組み立てており、採否の結果が4月に予定される判決に与える影響は大きい》

 《法廷は東京地裁最大規模の104号。小沢被告が入廷する。紺色のスーツに白いシャツ、青に赤のストライプが入ったネクタイ姿で、裁判長に一礼すると弁護側の席に座った。いつものように席に着くと目を閉じる》

 《大善裁判長は、元秘書3人の供述調書を採否を告げる前に、まず弁護側から提出された証拠についての見解を示す》

 裁判長「弁32から34については採用する」

 《法廷でのやり取りによると、弁34号証は、○○検事(法廷では実名)が石川議員を任意聴取した際に作成された平成22年5月付の「捜査報告書」。石川議員が隠し録音した内容と齟齬があり、○○検事も「(過去の調べと)記憶の混同があった」などと事実と異なる記載があることを認めている。裁判長が捜査報告書の一部を読み上げる》

 裁判長「『あなたは11万以上の選挙民に支持されて国会議員になった』」

 「『それがヤクザの手下が親分を守るようなことをしていれば、選挙民を裏切ることになる。これは結構効いたんですよね』。こうしたことが石川議員の発言として書かれています」

 《捜査報告書には、○○検事のこうした“説得”によって、石川議員が小沢被告の関与を“自供”したことが記されているが、隠し録音されたテープにはそうした発言がなかったことが、これまでの公判で明らかになっている。証拠採用されたことは、指定弁護士側にとって不利に働きそうだ》

 《次いで裁判長は本題に入り、元秘書3人を検察官が調べた際の供述調書についての採否を述べる》

 裁判長「元秘書3人の証拠調べの結果、これに指定弁護士、弁護人の意見をふまえ、採否の判断を決定しました」

 「主文。まずは採用するものを述べます。石川知裕に対する検察官調べの供述調書4通。甲83の2項3項、5項…」

 《石川議員が、小沢被告への虚偽記載の「報告・了承」を認めたとされる「甲89号」は読み上げられない。不採用となったもようだ》

 裁判長「池田(光智元秘書)に対する供述調書は11通。甲103…」

 《続いて池田元秘書の調書。こちらも小沢被告の関与を認めたとされる「甲126」は外した。続いて裁判長は証拠採用しなかった調書の番号を読み上げ、主文の概要を示す》

 裁判長「甲89号は全部却下。任意性、特信性なし…」「甲126、全部却下。任意性、特信性なし…」

 《調書の「任意性」が否定された。弁護側が主張する検察官の「威迫・誘導」が認められたのだろう》

 《弁護側は裁判所側から配布された採否に関する資料を、食い入るように見つめる。小沢被告もそれにつられるように目を開き、目線を落とすが、またすぐに目を閉じる。指定弁護士側の表情は硬い》

 《次いで裁判長が採否を判断するに至った理由を示す。事前に準備した文書を淡々と読み上げるため、早口だ》

裁判長「石川は被告の元秘書であり、国会議員に転身した後も被告を政治的に支持している。被告が有罪とされないことを強く望んでいるものと認められる」

 《裁判所の係員が小沢被告にペットボトル入りのお茶を渡す。小沢被告は笑顔で会釈すると、再び目を閉じた》

 裁判長「したがって、被告が在廷している面前であり、証言内容が被告の刑事責任に直結する上、被告の政治力に影響することもうかがわれる公判では、被告に不利益になる供述をすることは、強い心理的規制が働くものと認められる。一般論ついては、検察官調書の記載に『特信性』を認められる」

 《刑事訴訟法は、検察官が被告以外の関係者を聴取して作成した調書は、公判証言よりも信用すべき特別の状況(特信性)がある場合に限り、証拠採用できると定めている》

 裁判長「しかし、任意性に疑いのある取り調べによって作成された場合などには特信性を否定すべきと考えられる」

 《大善裁判長はそう述べた上で、まずは「甲99号」についての判断を示す。小沢被告が検察審査会で起訴議決を受けた後、石川議員が○○検事から再聴取された際の供述調書だ。この取り調べは石川議員が隠し録音しており、取り調べの問題を示す弁護側の大きな論拠になっている》

裁判長「(録音によると)○○検事は、石川に対し『被告の関与を認める供述を覆すと、検察内部の強硬な考えの持ち主が、被告を起訴処分に転じるよう主張する』などと示し、従前の供述の維持を繰り返し推奨している」

 「このような働きかけは、被告が起訴されないことを望む石川にとって、強力な利益誘導で、虚偽供述に導く危険性の高い取り調べ方法である」

 《「強力な利益誘導」「危険性の高い取り調べ」。強い言葉で批判した後、大善裁判長はさらに検察の取り調べ方法を痛烈に批判する》

 裁判長「○○検事は『検察幹部が立腹している』と石川に伝えたうえで、『検察が石川議員を再逮捕しようと組織として本気になったときに、全くできない話かっていうと、そうでもない』などと述べている。供述を覆すことを困難にする強力な圧力でもある」

 「取り調べは違法、不当なものであって許容できないことは明らかである」

 「そもそも録音(内容)によると、調書の案文は、石川の具体的な供述内容に基づいておらず、石川の供述を録取したものと評価できるかすら疑問がある」

 《大善裁判長はさらに○○検事が公判で「録音されていると分かっていれば、このような調べはしなかった」と証言したことを取り上げ、「取り調べの可視化が広くなされていれば、行うことのできない取り調べ方法であったことを、自ら認めているものといえる」と指摘。この調書の「特信性」を否定した》

《大善裁判長はその後、一部の調書については「○○検事に屈服して言われるままに調書に応じるといった心境ではなかった」などと特信性を認めたが、小沢被告の関与をうかがわせるような重要な調書については次々と「任意性」「特信性」を否定していく》

 裁判長「特捜部の副部長である□□検事(法廷では実名)による取り調べの際には、建設会社からの献金受領の事実を中心に調べたうえで、これを認める供述が得られず、取り調べメモを石川の前で破るという行動に出たことが認められる」

 「石川の政策秘書も特捜部から陸山会事件とは異なる事実について厳しい取り調べを受けた」

 「これらの事実は、特捜部の複数の検察官が石川に圧力をかけていたことをうかがわせるものであり、ひいては(○○検事による不当な取り調べは)組織的なものであったと疑われる」

 《特捜部の組織的な圧力があったと指摘する大善裁判長。一部については○○検事が取り調べ中に残したメモなど、石川議員の供述を裏付ける部分もあったとしながらも、多くの調書について「任意性に疑いがある」と繰り返した》


        会計、法律のカリスマ弥永真生教授が決定的証言 「期ズレ」はまったく問題なし

「資産取得と支出の記載時期は同一年分であるべき。問題となった収支報告書に記載を移したのは、当然の帰結だ」小沢裁判で、またもや決定的証言だ。
20日の第11回公判に証人出廷したのは、筑波大の弥永真生教授(50)。
明大在学中に司法試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験を次々と突破。その後、東大法学部に学士入学し、首席で卒業した経歴の持ち主だ。
「弥永氏は商事法と制度会計のエキスパート。商法や会社法に関する数々の著書は司法試験志願者のバイブルとなっています」
(司法関係者)
 そんなカリスマ教授が、
「会計学上は陸山会の土地購入に関する会計処理は許容範囲」と、お墨付きを与えたのだ。

 陸山会は04年10月に約4億円で土地を購入し、05年1月に所有権移転の本登記を行った。本登記に合わせて土地の取得や支出を05年分の収支報告書に記載。この「期ズレ」の問題で、小沢は元秘書3人との「虚偽記載」の共謀罪に問われ、裁判に縛られてしまった。
 しかし、弥永教授は「企業財務と収支報告書の会計基準には違いがある」と主張。上場企業なら、経営実態に即した迅速な会計処理が求められるが、政治団体には株主や投資家もいないし、収支報告書の会計基準は「主婦の家計簿レベルに近い」と証言した。
 不動産取得の計上時期も「土地の引き渡し時期を外部から確認できる登記時を基準とすべき」と語り、本登記前に代金を支払っても「『前払い』にあたる。記載義務はない」と明言した。
 さらに政治資金収支報告書が国民への情報公開を目的にしていることを強調し、「支出だけを記録してもそれに見合う資産計上がなければ、国民の誤解を招く。数年分をまとめて見て、初めてひとつの取引が判明するような作りでなく、資産取得と支出の記載時期が同一年分であることが望ましい」と指摘したのだ。

 検察官役の指定弁護士は「もっぱら報告書の記載を1年遅らせるために所有権移転の登記を翌年にずらした場合も、(こうした手法が)認められるのか」と問い詰めていたが、弥永教授は「動機は関係ない」と断言した。

                                                      日刊ゲンダイ 2011年12月21日





マスコミの冤罪づくりを監視する
報道オンブズマン日本 

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