外国人技能実習「強制労働の温床」、JK散歩は人身売買 米国国務省報告
東京新聞 2014年6月21日 朝刊
【ワシントン=斉場保伸】米国務省は二十日、売春や強制労働などを目的とする世界各国の人身売買に関する二〇一四年版報告書を発表した。安倍政権が新たな成長戦略の素案に拡充を盛り込んだ「外国人技能実習制度」について、劣悪な強制労働の温床になっていると批判。男性が有料で女子高生とデートする「JKお散歩」が児童買春に使われていることを指摘している。
 報告書は百八十八カ国・地域の状況を分析。日本は「人身売買に関する最低限の基準を満たしていないものの努力はしている」とされ、四段階のうち
米英両国や韓国など「完全に満たしている」国々に続く二番目のランクだった。「努力もしていない」とされた四番目のランクには北朝鮮やイラン、ロシアが入った。
 報告書は外国人技能実習制度が本来の趣旨から外れた「出稼ぎプログラム」になっているとし、取り締まりの強化を求めた。
「JKお散歩」は人身売買=米国務省が年次報告書
時事通信。(2014/06/20-22:54)
【ワシントン時事】米国務省は20日、世界各国の人身売買の実態をまとめた年次報告書を公表した。日本については、女子高生とデートできるとうたった「JKお散歩」と呼ばれる接客サービスを
新たな性目的の人身売買の例として示した上で、各国の取り組みを4段階に格付けした中の、上から2番目の評価に据え置いた。
 
日本が2番目の評価にとどまったのは10年連続。報告書は「援助交際」も人身売買の例に挙げ、「日本に来る外国人の女性や子供の中には、到着後すぐに売春を強要される者もいる」と指摘。「日本人男性は、東南アジアやモンゴルでの児童買春ツアーの大きな需要源」とも記した。
 また、政府が運営する技能実習制度で来日した人も含め、外国人労働者が強制労働の被害者になりやすい実態があると説明。「
日本政府は、人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていない」と認定し、包括的な人身売買禁止法の制定などを改めて勧告している。
 
4段階のうち最高評価だったのは米国、韓国など31カ国・地域。制裁対象となり得る最低評価はロシア、北朝鮮、イランなど23カ国だった。
世界の強制労働、中国は最低ランク脱す 米が報告書
日本経済新聞 2014/6/21 0:39
米国務省は20日、世界各国の人身売買や強制労働に関する年次報告書を発表した。昨年は4段階の最低ランクに格下げした中国について「労働を通した再教育」と称する強制労働の廃止を決めるなど政府の努力がみられるとして1つ上の「監視リスト」に引き上げた。
 報告書は中国での政府が関与する強制労働は引き続き重大な懸念だとも指摘した。日本に関しては「外国人研修・技能実習制度」を写真つきで取り上げ、「多くは非熟練労働者として働き過酷な労働条件や強制労働の犠牲になりやすい」とした。
日本は昨年に続き主要7カ国で唯一、上から2番目の「対策不十分」にランされた。
 北朝鮮は最低ランクで、子供を含む8万〜12万人を政治犯収容所で強制労働につかせており、劣悪な環境で多数が死亡していると批判した。
昨年中国とともに格下げしたロシアは今年も最低ランクとした。
 報告書は世界180カ国・地域以上を人身売買対策の達成度に応じて4段階に分類している。(ワシントン=芦塚智子)

「JKお散歩」問題視 米国務省の人身売買めぐる報告書  
朝日新聞 2014年6月21日22時44分ワシントン=奥寺淳
技術を学ぶために来日した外国人実習生には、強制労働の事例もある――。米国務省は20日、世界の人身売買をめぐる報告書で日本の「外国人技能実習制度」についてこう取り上げ、改善を求めた。客がお金を払って少女とデートする「JK(女子高生の略)お散歩」も初めて問題視した。
 2014年版報告書は世界188カ国・地域を対象に、売春や強制労働などの実態について調べた。日本は4段階評価で上から2番目の「最低基準を十分に満たしていないが、改善に努めている」に分類された。
 技能実習制度は、安倍政権が国内の人手不足を補うことも念頭に、受け入れ期間を3年から5年に延ばすことを検討。成長戦略の一つにもなっている。

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