日 本 の 戦 争 と 新 聞 報 道

    永 井 荷 風 日 記
(昭和7年2月21日) 「同社(朝日新聞社)は陸軍部内の有力者を星ヶ岡の旗亭に招飲して謝罪をなし、出征軍人慰問捐金として金拾万円寄附し、翌日より記事を一変して軍閥謳歌をなすに至りし事ありしという。この事もし真となりせば言論の自由は存在せざるなり。かつまた陸軍省の行動は正に脅嚇取材の罪を犯すものというべし」
(昭和11年2月14日)「日本現代の禍根は政党の腐敗と軍人の過激思想と国民の自覚なき事の三事なり。政党の腐敗も軍人の暴行も、これを要するに一般国民の自覚に乏しきに起因するなり。個人の覚醒せざるがために起こることなり。然り而して個人の覚醒は将来に於てもこれは到底望むべからざる事なるべし」


昭和 出     来     事 報 道 内 容
6.9.18 ●陸軍後援、関東軍司令部主催
  (自作自演)の「満州事変」


★昭和6年10月板垣征四郎、石原莞爾等 
田中隆吉中佐に「何かあった時は上海で事件を起こしてくれ。そうすると世界の目がそっちにいく」と指示
  ⇒日本軍の謀略「上海事変」へ
     (田中隆吉+川島芳子)
戦争は、新聞を儲けさせる最大の武器。新聞は戦争を煽りながら部数を増やしていこうと、軍の思惑通りに動いた。

(朝日新聞)   「奉天軍の計画的行動」
「十八日午後十時半、奉天郊外北大営の西北側に暴戻なる支那軍が満鉄線を爆破し、我が鉄道守備隊を襲撃したが、わが軍はこれに応戦した・・」


(朝日新聞・荒垣秀雄) 「四十度の熱で寝ていた者が一戦闘にフラフラ出ていったまま全快した」 「眉間から入った弾が頭蓋骨と皮膚の間をクルリと通って後頭部からぬけたのをホンの軽症と思って戦っていた独立守備隊第○大隊の北山一等卒」 「胸部から背中に穴をあけられて息をするごとに出血しながら敵と格闘していた米山上等兵」「爆弾の破片で足の肉をすっかりとられながらも突貫して行った相沢一等卒」
7.1.3 ★日本の侵略撃退運動激化
日本のものは一切買わず、売らず、運ばず用いず。原料及び一切の物品を日本人に供給せず。日本の円を受け取らず、取引もせず、日本人を雇わず、日本人に雇われず。日本人と一切応対せず。上海 ・北京・南京・広東で蜂起

●関東軍
錦州を占領
1・18 上海事変








(朝日新聞) 「平和の天子の如く旭日を浴びて皇軍入城す」 「皇軍の威武により、満州新時代に入る」
7.2-3 血盟団事件
2.9 井上大蔵大臣射殺
3.5 三井合名理事長団琢磨射殺
7.3.1 ★2・18奉天省、吉林省、黒龍江省の主席を関東軍が密かに指導・・独立宣言
★2月29日満州国独立大会(奉天)
●満州国独立宣言
(元首:溥儀)

朝日新聞2月19日
「新国家が禍根たりしがん腫を一掃し、東洋平和のため善隣たる日本の地位を確認し、共存共栄の実をあぐるに努力すべきであろうことは、いうだけ野暮であろう」
7.4.29 上海事変停戦協定
  (天皇ー白川大将ライン)
7.5.15 ★政党内閣終焉挙国一致内閣へ
 「軍人の暴力が政治や言論に君臨」
 恐怖(殺人・テロ)時代に

●五・一五事件
7.10.12 国際連盟、日本の満州からの一時
 撤退を決議
(反対は日本のみ)
8.2.24 国際連盟、満州からの撤退勧告
 42対1(反対は日本のみ)

日本、国際連盟から脱退

【排外的な「攘夷」思想に後押しされた国民的熱狂の始まり】
東京日日新聞(毎日新聞)2月18日
「これ実にこれ等諸国に向って憐を乞う怯懦の態度であって、徒らにかれ等の軽侮の念を深めるのみである。・・わが国はこれまでのように罪悪扱いをされるのである。連盟内と連盟外の孤立に、事実上何の相異もない」
朝日新聞2月22日
「小林多喜二氏、築地で急逝、街頭連絡中捕わる」

文藝春秋5月号(匿名月評氏)
「連盟脱退は明白に日本の外交の失敗であった」としなければならないのに、新聞はこれを一切報じないし一切問わない。松岡代表のその告白(連盟の脱退は我輩の失敗である。帰国の上は郷里に引き上げて謹慎するつもりだ)さえ報じていないのである。それで松岡が英雄とはいったい何たることだ」
8.6.17 ★ゴーストップ事件
  大阪府警対大阪陸軍第八連隊
8.7.25-
   8.2

8.8.9
★防空演習実施
空襲を予想して全燈火を消した中での訓練

★関東地方防空大演習
信濃毎日新聞論説委員:桐生悠々
「だいたい敵の飛行機が日本の上空に来るという状態になったらもう日本軍の大敗北そのものではないか。紙と木だけの東京の街はぽかんぽかんにやられてどうしようもなくなってしまうではないか・・・こうした実戦が、将来決してあってはならないこと、又あらしめてはならないことを痛感したであろう。と同時に、私たちは、将来かかる実戦のあり得ないこと、従ってかかる架空的な演習を行なっても、実際には、さほど役立たないだろうことを想像するものである」
8.8 ★「中国一撃論論」の統制派:永田鉄山、
「予防戦争論」の皇道派:小畑敏四郎左遷
8.9.5 ★出版法大幅改正(改悪)
9.1 ★陸軍大臣荒木貞夫辞任、林銑十郎交替
 
永田鉄山中央復帰軍務局長に就任
9.10.1 ★陸軍統制派「陸軍パンフレット」 リンク
 『国防の本義とその強化の提唱』
10.2.18 ★貴族院本会議で右翼議員菊池武夫
 「天皇機関説」批判
文藝春秋4月号(城南隠士=御手洗辰雄) *検閲により××
「××(軍部)がこの騒動を起こしたとは言えんが、××(軍部)を中心とする連中の間から、美濃部糾弾はまず巻き起こされた。議会で先陣を承った菊池は××(軍部)とは切っても切れん同志の一人だ。議会の始まる前から美濃部説を攻撃して居ったのも、みな××(軍部)とは近い連中じゃ」「美濃部党の憲法解釈で、現存する一番の先輩は枢府(枢密院)で憲法の鍵を預かる××(一木喜徳郎)じゃ。・・美濃部を攻撃し、その学説一切を駆逐するとなると、最後に出て来るものは××(宮中)じゃ。・・この運動が××(宮中)に及び、万一××(一木)が何かの形で責任を執らねばならんような破目にでもなると、西園寺、牧野、斎藤、高橋、××(一木)とつながる重臣層には一大破綻が起こる。美濃部騒動の××××(基本理念)はここじゃ」
軍部が、天皇を守っている宮中の穏健和平重臣層(西園寺公望、牧野伸顕、斉藤実、高橋是清、鈴木貫太郎、湯浅倉平、一木喜徳郎等)を解体するための作戦の1つであった。
【昭和天皇独白録】「私は国家を人体に譬へ、天皇は脳髄であり、機関と云う代りに器官と云う文字を用ふれば、我が国体との関係は少しも差支えないではないか」
10.8.3 岡田啓介内閣 「国体明徴」政府見解
10.8.12 皇道派相沢三郎が軍務局長永田鉄山を
暗殺 (11.7.3死刑執行)
  青年将校運動が拡大
11.2.26 ●二・二六事件
斉藤実、高橋是清、、渡辺錠太郎殺害
鈴木貫太郎重傷
天皇命令「反乱軍をすみやかに鎮圧せよ」
松本清張「二・二六事件」
「(これ以後の日本は)軍部が絶えず二・二六の再発(テロ)をちらちらさせて政・財・言論界を脅迫した。かくて軍需産業を中心とする重工業財閥を(軍)が抱きかかえ、国民をひきずり戦争体制へ大股に歩き出すのである。この変化は、太平洋戦争が現実に突如として勃発するまで、国民の眼にはわからない上層部において、静かに確実に進行していった」
11.4.18 ★「大日本帝国」呼称決定
11.5.18 ★広田内閣:軍部大臣現役武官制復活
 ー内閣が軍部に逆らえなくなるー
11.6.15 不穏文書臨時取締法
11.7.5 二・二六事件判決 7.12第1回死刑執行  栗原中尉:「天皇陛下万歳。霊魂永久に存す。栗原死すとも維新は死せず」
11.8.7 ★広田内閣五相会議「南進論」
11.11.25 日独防共協定調印
11.12.12 西安事件ー抗日民族統一戦線へ
12.7.7 ●盧溝橋事件
12.12 南京陥落・南京虐殺 偕行社「南京戦史」     証言による『南京戦史』1〜11 
通常戦闘での中国軍将兵戦死者 約3万名、中国軍将兵の生存者 約3万名
中国軍捕虜・便衣兵等への撃滅、処断による死者 約1万6千名
  (撃滅・処断:敗残兵への攻撃、市民にまぎれた中国兵の掃討、捕虜暴動鎮圧)
一般市民の死者 約1万5千7百6十名
13.1 ★『国家総動員法』 議会提出
第4条「政府は戦時にさいし国家総動員上必要あるときは、勅令の定むる所により×××することを得る」
 ×××=文言無しの任意の勅命
13.3.17 『国家総動員法』 通過成立 革新政党「社会大衆党」がこれに賛成 西尾末広「・・もっと大胆率直に、日本の進むべき道はこれであると、ヒトラーのごとく、ムッソリーニのごとく、あるいはスターリンのごとく、大胆に日本の進むべき道を進むべきであろうと思うのであります。今日わが国のもとめているのは、確信にみちた政治の指導者であります」
13.9 日本海軍分析
  「対英感情は何故に悪化したか」
13.10.27 漢口陥落 参謀本部堀場少佐「漢口陥落して国民狂喜し、祝賀行列は宮城前より三宅坂に亘り昼夜に充満す。歓呼万歳の声も、戦争指導当局の耳にはいたづらに哀調を留め、旗行列何処へ行くかを危ぶましむ」
13.11 ★東亜新秩序声明
    【日中戦争の名目造り】

 ヒトラーの「ヨーロッパ新秩序」に連動
 世界での日本の孤立化に拍車
14.5-8 ノモンハン事件(宣戦布告無)
 関東軍+満州国軍対ソ連軍+蒙古軍
 日本6万人の内2万人が死傷、前線の
 連隊長はほとんど戦死・自決
 作戦参謀:服部卓四郎辻政信→後に米
 英との衝突(南進政策)を推進


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